公益社団法人 地盤工学会 中国支部
岡山地域セミナー

・第2回目のセミナーをリモート開催で行いました。参加者は全46名とこれまでの最多でした。

・西垣先生の挨拶の後、講師紹介があり、その後約2時間熱い講演と質疑応答が以下のとおり行われました。

講演内容に関する感想や、質問等は下段伝言板に投稿できます。セミナー参加者以外の方も自由にどうぞ!


2021年度 第2回岡山地域セミナー 講演会概説

「JR西日本における落石対策の現状」講師:深田隆弘様 大阪外環状鉄道(株)

津山線の落石事故を始めとして、JR西日本の鉄道路線沿線で発生した各種落石事故の事例紹介があった。当社では以来、そうした事故を受けて斜面の検査(点検)を全線で行っており、斜面カルテを作成して管理している。また落石およびその斜面の健全度判定には、「発生源における落石危険度」と「線路への影響度」の主に2要素をマトリックス構成とし総合的に評価判定している。全般検査は広く2年を超えない期間に、また必要に応じて随時行っており、管理用の斜面カルテについては、主要な線区で作成・更新が2巡目以上に入ってきている、とのこと。(2021/7/8、追記修正)

こうした中で特筆すべき事項は「発生源における落石危険度」の評価についてである。演者深田氏は長年の経験から、斜面内における転石型落石に対して、その危険度を定量的に評価する方法を提言している。その手法は落石岩塊を根入れ深さの程度に応じた1質点系モデルに置換え、ハンマーで落石岩塊を直接起振することによって得られる固有の振動数を主に評価尺度とする。当然根入れが浅く危険な岩塊ほど低い振動数で長周期の振動を呈する。こうした発生源の危険度評価に加えて、平均斜度や斜面内に存在する落石時に跳躍する崖面の有無など考慮して、線路への影響度を評価判定する方法も提言されている。それらを元に学位を取得されたとのこと、紹介できた資料はごく一部であり、右上図は説明用資料の画面コピー抜粋である。

・立場を利用した蛇足的私見

転石型落石としているが根入れ部は、地盤・基岩とのかみ合いとも共通する要素であり、浮石・剥離型落石にも適用できると感じている。また根入れ深さは見えない部分の評価であり、実際の現場で調査技術者が判断を迷い、その結果異なる評価が下されることが多い。これまでの「落石対策便覧」では概して見た目の露出率により、安全側のランクA「危険」ランクB「やや危険」と評価されていても、実際には背面地山がかみ合いを有してランクC「ほぼ安定」な場合もあるように感じている。現場実務では、積極的にハンマーによる落石岩塊を起振してその振動を体感して、緩みやかみ合いの程度を推定して「石の安定状態」を推定すべきであると思う。

深田氏らは起振にゴムハンマーを使用したとのこと。調査技術者が通常使用しているのはロックハンマーであり、これで落石岩塊を起振すると「カチン~ガチン」と反発してハンマーの衝撃が上手く岩塊に伝わらない。ゴムハンマーを使用しての実験・研究から、深田氏らは「ズシン」とした手応えとともに、その感触から岩塊の緩みやかみ合いを推定できるようになったとか。



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2024/11/28  11:14   

2024/10/28  14:00   

2024/07/14  22:45   

2024/04/18  18:07   

2021/07/08  11:35   小林
深田様投稿有り難うございます。また検査・点検に関する記述の不備大変失礼しました。斜面カルテの更新と、全般検査を混同していたようです、ご指摘の内容に沿って修正致します。

2021/07/07  16:01   深田
6月21日 講演参加者 各位
当日は、とりとめのないお話にお付き合いくださいまして、ありがとうございました。
多くのご質問も頂戴しましたが、うまく応答できずに、大変失礼いたしました。
事務局の方には、上記のとおり、簡潔に講演内容をまとめていただき、恐縮しています。
本文5行目から「今では2年ごとに行う全般検査の2巡目…」の記述をしていただいておりますが、鉄道では過去より2年を超えない期間に必ず1回以上、全般検査を行っております。従いまして全般検査はこれまでにも枚挙に暇のない回数を実施してきております。
発表時にお話しした内容としては、本文3行目にある「斜面カルテ」の作成・更新が主要な線区で2巡目以上に入ってきているということです。お間違いのないよう付け加えさせていただきます。ありがとうございました。深田

2021/07/01  11:53   小林
似た約1ポンド(約450g)のゴムハンマーを購入して、岩塊に加振してみました。確かに跳ね返りが小さく、「ズン」という感じで打撃力が伝わる感じです。

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